tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

デフレ3悪

2014年07月14日 07時33分37秒 | 経済
デフレ3悪<2009年11月23日付のリメイク版>
 スタグフレーションが先進国経済の病気だと指摘しましたが、デフレは「資本主義経済の活動の原点を破壊」し、正常な経済活動を不可能にします。
 日本は失われた20年の中でその克服に努力しましたが、これは「日本の奇跡」と言ってもいいと思っています。

 私は以前から自分勝手に考えて、「デフレ3悪」という指摘をしてきました。デフレの時は、自動的にこんなことが起こり、自動的に景気が悪くなるという指摘です。

1. 消費不振(先延ばし)
 消費者は、先行き物価が下がると思えば、消費を先延ばしすることになります。例えば、来年あたりに、もっと良い車が安い価格で出ると思えば、新車への買い替えは急がずに、差し当たってもう一度車検を取って、新しい車が出るまで待つでしょう。これでは消費は伸びません。

2. 利益圧縮
  企業は原材料や商品を仕入れて、それを加工したり陳列したりして売りますが、必ず一定のたな卸し回転期間がかかります。デフレの時は、たな卸し回転期間中にも物価が下がることになりますから、高めの価格で仕入れて、安めの価格で販売ということになり、その分だけマージン(粗利益=売上総利益)は自動的に減ります。

3. 金融不安
 物価が下がって行く分だけ実質金利は上昇します。物価が下がるということは現金の価値が上昇することですから、現金を持っているだけで得をします(しかし余り実感しません)。
 一方、借金している人は、借金の価値が膨らみます。金利が1パーセントでも、物価が1.5パーセント下がれば、実質金利としては2.5パーセント金利がかかったのと同じです。企業は積極経営を避けます。
 預金金利はゼロ以下には出来ません。貸出金利は下がっても実質金利は高いので銀行利用者は減り、金融機関の収益性は落ち、銀行倒産が起きます。金融政策は効かなくなります(流動性の罠)。

 こんなデフレ経済は、本当に御免蒙りたいと思うのですが、日本は、プラザ合意とリーマンショックでひどいデフレを経験させられました。米欧など諸先進国は日本の苦労などほとんど関心を持ってくれませんでした。

 幸い、黒田総裁による日銀の政策転換で、昨年4月、約2割の円安を実現、日本経済はやっと蘇生しました。

 マネー資本主義、マネーゲーム依存の変動相場制の今日では、為替変動次第で簡単にデフレに陥る可能性がありあります。
 経済政策、外交政策一体の真剣な対応策が常に必要な世の中のようです。


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